カラードプラ心エコー図により初めて診断された ASDの2例---他の検査法との比較

伊賀幹二、*高橋秀一、堀健次郎、松村忠史、玄 博允、友永 轟、玉村健年:

    要旨

他の心疾患のために施行したカラードプラ心エコー図にて偶然に心房中隔を通過する血流が見られ、心臓カテーテル検査で心房中隔欠損症を確認しえた2例を経験した。心放射図では少量の左右シャントパターンがみられたが、理学的所見、心電図、胸部レ線、断層心エコー図は正常であった。カラードプラ心エコー図は心房中隔欠損部を通過する血流が観察できるため心房中隔欠損症の診断には鋭敏すぎる。しかし、他の診断法で心房中隔欠損症が検出できないものはいわゆる、”ドプラ弁膜症”と同様に臨床的意義は少ないと思われた。